法人保険営業で「顧問税理士の反対」などに巻き込まれること無く最速で効果を出す方法と戦略とは?

事業承継の知識1

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はじめての事業承継


事業承継の全体像

日本の産業はモノ作りの歴史


日本の産業といえばモノ作りというイメージが真っ先に浮かぶと思います。
ご存知の通り、日本の産業の歴史というのはある意味第二次世界大戦の敗戦から
始まりました。

戦後産業史


日本の産業界は、戦後の高度経済成長~バブル経済~バブル崩壊後の長期不況という
経過を辿って現在に至り、ここ数年は戦後日本を支えてきた大企業すら機能不全に陥り
迷走しているのが実情です。

 
 戦後経済復興期 1945年~53年


終戦から朝鮮戦争開始までの日本経済の戦後復興は、財閥解体、労働民主化、農地解放と
言ったGHQの民主化政策により個人消費が増大し、傾斜生産方式という政策で鉄鋼石炭に
資源を集中して配分することで生産力が回復し、そこに朝鮮戦争特需が加わり本格的復興の
基礎をつくったと言われています。




 
 内需主導の経済成長期 1954年~64年


朝鮮戦争が休戦した1953年以降、日本経済は内需主導型の経済へと転換していきます。
朝鮮特需により日本経済は敗戦後の状態から急速に回復、貧しいながらも国民は安定した
所得を得るようになっていた時代です。ちょうど1953年にはNHKテレビ放送が開始され、
翌54年にはテレビ・洗濯機・冷蔵庫のいわゆる「3種の神器」キャンペーンが展開されます。




 
 内需主導から外需主導への移行期 
 1965年~69年


朝鮮戦争が休戦した1953年以降、日本経済は内需主導型の経済へと転換していきます。
65年前後からそれまで好調だった内需に陰りが見え始め、日本の産業は内需主導から
外需主導による経済成長へと舵を切って行きます。64年に日本はIMF8条国へ移行し、
貿易と為替が原則自由化され、本格的な開放経済体制へ移行。外需主導への足がかりと
なります。65年には「戦後初の建設国債 6750億円」を発行して以降、毎年発行されて
その赤字額は年々増大していってます。




技術力を持った人たちの高齢化


以上のように日本の産業が発展するに伴い、技術力を持った人たちである中小企業経営者
に老齢化という問題が出てきました。
日本の経済や産業を支える中小企業の雇用や技術の喪失といった観点から、事業承継問題が
クローズアップされています。

事業承継の形態は大きく分けて、親族内事業承継・親族外事業承継・M&A
の3つに分類することができます。



事業承継図表1


中小零細企業において後継者難(当代限りで事業を終わらせようとしているケースを含む)が
増加していること、平均寿命上昇や事業承継時期の遅れにより社長在任期間が長期化している
こと
が原因と考えられます。



事業承継図表2


先代経営者と後継者との関係も年々変化しています。以前は親族内承継が全体の9 割以上
を占めていましたが、近年では親族内承継が減少してきており、親族内での後継者の確保が
困難になってきています(図表2)

最近では、事業承継の一形態として「M&A」という手法を選ぶ中小企業も
多く見られるようになりました。



事業承継図表3・4


上の表を見ると、経営者が60歳代の企業のうち後継者が決まっていない企業が
約3割にのぼっています(図表3)

後継者を決めている企業においても、後継者に話をしていない経営者が何と約2割
になっており(図表4)、後継者との意思疎通ができていないのが現状です。



事業承継図表5・6


先代から事業を引き継ぐにあたり苦労した点として「経営力の発揮」を挙げている
経営者が多く(図表5)、経営力を引き継ぐための後継者の育成に必要な期間として
5年~10年はかかると考えている経営者が多数を占めています(図表6)

早めに事業承継対策に取り組み、後継者が十分に「経営力」を発揮できるよう、
現経営者がバックアップすることが重要になってきます。



本当に承継しないといけないのは、目に見えない「知的財産」

事業承継とは「現在の経営者から後継者へ事業のバトンタッチ」を行うことです。
会社やお店がこれまで培ってきたさまざまな財産(人・物・金・知的資産)を上手に
引き継ぐことが、承継後の会社やお店の経営を安定させるために重要になります。

事業承継概略図


事業承継と聞くと、相続税対策を思い浮かべる方がいらっしゃいますが、
相続税対策は事業承継のごく一部に過ぎません。

事業承継対策は思っているほど簡単なことではありません。
注意深く行わないと、後で大きな問題になるようなリスクもあります。
事業承継の代表的なリスクをまとめておきましょう。



5大リスク ロゴ 
 事業承継の5大リスク



 1 後継者に経営力が乏しく、会社がダメになる

 2 遺産分割争いが起こり「争族」になる

 3 納税資金不足で、後継者や会社の資金繰りが圧迫する

 4 高額な贈与税や相続税が発生する

 5 後継者が見つからず、社長が年老いて業績が落ち、
   会社がダメになる




①「後継者に経営力が乏しく、会社がダメになる」の回避法

事業承継の手順 ロゴ 
 事業承継の手順



 1 後継者を教育する

 2 会社の経営と所有権を承継する

 3 社員の理解を得る

 4 代表権を承継する

 5 自社株を承継する

 6 債務保証を継承する




後継者を教育する

中小企業の多くの経営者は、自分の子供に会社の経営を継ぐ能力があるのか
否か
を非常に不安に思っています。社長にとって会社を経営することは、
長年苦労の連続だったからです。

自分の子供を後継者にした場合、果たしてその苦労を乗り越えていくことが
できるのか非常に心配なのです。

この経営者の不安を解消するためには、自分の子供に後継者としての経営力を
身につけさせるしかありません。経営者として会社やお店を切り盛りしていく
ためには、どのような能力が求められるのでしょうか?

経営者には洞察力と人間力の両面が備わっていなければならないと
考えています。何がビジネスになるのかを見抜く冷徹な観察力と、
人を惹きつけて動かす力です。

どのようなビジネスで収益が向上するのかを見極める力と、社員を鼓舞する
リーダーシップです。
この二つの能力が備わって始めて、会社という人の
集まりを儲かる事業へと導くことができるのです。

この能力を習得するためには、どのような教育をすればよいのでしょうか?

まずは他の会社で働らいて経験を積むしかありません。
実際に多くの経営者がそのようにしています。
甘えの許されない環境で鍛えられることによって、早く成長することを
期待しているのです。

ベンチャーのような企業に就職させたほうが良いでしょう。
安定的な大企業よりも、必死に伸びようとしているベンチャーのような
企業の方が、学べることが多いはずです。ビジネスのやり方、組織のあり方など
多くのことを学ぶことができると思います。大企業の経営スタイルは、
中小企業には当てはまらないことが多いので、大企業で子供を鍛えれば安心
だとは思わないほうが良い。

他の会社から戻ってきたら、さまざまな部門を計画的にローテーションして、
育成していくべきです。部門ローテーションによって、古くからいる社員との
人間関係も自然に構築できます。

適切な規模の子会社があるなら、その子会社の経営を任せるのはとても効果的な
マネジメントになります。製品やサービスの開発、営業、会社の資金繰り、
人材育成
まで万遍なく体験できるので、経営の勉強には最適でしょう。

後継者教育




事業承継は4つのステップで行う


1.社員に理解してもらう

会社の経営権を承継する前には必ず、社員の理解を求めること。順序立てた
ステップを踏んで着実に理解を求めてください。

ある日突然、自分の子供を最高幹部に抜擢してしまうと、古くからいる社員の
反発を招く
ことがあります。後継者の経験不足によって会社を引っ掻き回して
しまったり、古くからいる社員が反発して辞めてしまうこともあります。
幹部社員の退職は、社長の思っている以上に会社の力を弱めます。

ある日突然、後継者を最高幹部にするということはせずに、
後継者には、社内の業務をローテーションさせながら、
徐々に社長の座へと近づけ行くべきでしょう。

2.経営権を承継する

経営権の承継も、社員に理解してもらうのと同様に段階的に
実施したほうがよいでしょう。

社長に就任させた後も、いきなり現社長が経営から身を引くのではなく、
代表取締役会長に就任し時期を区切って、共同指導体制をとるべきです。

新社長は急激な変化をもたらそうとして、失敗することもありますので、
共同指導体制により慎重にバトンタッチさせることができます。

ただしこの場合、代表取締役会長の任期は明確にして、役割分担を透明化して、
新社長が経営の一翼を担うように配慮する必要があります。
社長とは名目だけで、以前と変わらず会長が経営の実権を握り続けるのであれば、
事業承継はいつまでたっても、うまくいかないでしょう。


3.自社株を承継する

経営権の承継とは別に会社の所有権である自社株の承継が必要になってきます。
自社株の大半を所有するものが会社の支配権を握るので、後継者の経営を確実な
ものにするためには、新社長には自社株の過半数を承継させる必要があります。

自社株の承継の方法は、買取・生前贈与・相続・種類株式の発行
の4種類があります。どの方法にもメリット・デメリットがあります。

買取は遺留分の争い(相続争い)が生じませんが、後継者が買い取り資金を負担
しなければなりません。そのため大量の株式を承継するのには不向きです。

生前贈与は自社株対策を十分に行って、対策を行えば贈与税の負担は軽減できますが、
後になって「遺留分の争い」が生じる可能性は残っています。

遺言による承継でも遺留分を考慮しなければなりません。先代経営者は、後継者が
会社の所有権を承継できたことを見届けることができません。
相続人全員が合意すれば、遺言とは異なる遺産分割を実施することができてしまう
ので、先代経営者からすると不安が残ります。

相続税が会社の業績によっては跳ね上がり、多額の納税が発生し後継者及び会社の
資金繰りが長期に渡り圧迫される
事態も起こりえます。

それぞれメリット・デメリットがありますが、生前贈与は税金対策を
実施しやすく、且つ、先代経営者が生きているうちに、事業承継を見届けることが
できるので、主たる事業承継の戦略となります。

4.債務保証の継承

経営の承継、自社株の承継の他に考えなければならないことは、
債務保証の承継の問題です。

多くの中堅企業では社長自身が、当然のように会社の銀行借入金の
連帯保証人
となっています。

後継者が新社長に就任すると、銀行は「連帯保証人」になることを
当然のように求めてきます。

にも関わらず銀行は、前社長の個人保証をはずしてはくれませんし、
前社長の個人資産に設定している担保もなかなか解除してくれません。

前社長が実質的には、会社経営に影響力を及ぼしているであろうし、
新社長の経営手腕が未知数で、まだ十分な資力がないためです。

しかし、経営から離れて株式も持たなくなった前社長を、
いつまでも連帯保証人にしておくのは非常に酷な話です。

新規借入や借り換えのタイミング等をねらって、前社長を連帯保証人から
はずすように粘り強く交渉するべきです。

そのためには、会社の資金繰りを強くして借入金を圧縮して、
少しでも財務指標を改善し、強い立場で銀行と交渉できるように
しておくべきです。

格付けを改善すれば、銀行は交渉に応じてくれます。
後継者の立場から見ると、個人保証すべき借入金の大きさが、
事業承継の障害となるときがあります。

事業承継の前には、経営努力により資金繰りを改善させ、
借入金を圧縮させ後継者の恐怖を和らげる努力をするべきです。

借金が膨れ上がり続ける状況で事業を承継させれば、
『事業ではなく、借金を承継した』と思われ続けてしまいます。

後継者が社長就任後は、個人保証に見合った分だけ報酬を増額させて、
個人保証に耐えられるようにした方が良いでしょう。

事業承継は4つのステップ




②「遺産分割争いが起こり争族になる」の回避法

争族回避 ロゴ 
 遺産分割争いでの争族回避法



 1 遺言の作成

 2 遺留分を理解する

 3 自社株の承継方法

 4 遺留分の争い回避法

 5 遺産分割の争い回避法

 6 相続人に対する売渡請求




遺言は次の3つの方法で行う


遺言には次の三つの方法があります。

それぞれ長所と短所がありますが、事業承継の場合には従業員の生活も影響を受けるため、
公正証書遺言をお薦めします。

1.公正証書遺言

公証人役場で証人を二人以上立てて、遺言者の口述を公証人に筆記してもらって遺言書を
作成する方法です。遺言者は実印と印鑑証明書を持っていく必要があります。
執行時に裁判所の検認が不要です。

遺言が公証人役場に公正証書として保管されるので、遺言が紛失したり形式不備などから無効
となるリスクがありません。
作成に手間と費用がかかりますが、一番手堅い方法です。
遺言の内容が証人に知られてしまうという欠点がありますが、事業承継の場合には従業員を含めて
影響を受ける人が多いので、この方法をお薦めします。

2.自筆証書遺言

自筆で作成する遺言です。日付を記入し、本人が署名・押印します。訂正する場合は署名して、
訂正印を押すことで訂正できます。
執行時は裁判所の検認が必要です。内容が人に知られる恐れはありませんし、公証人の費用が
かからないので、いつでも気軽に変更ができます。

紛失したり形式不備などから無効となる場合があります。自筆かどうかが不明で
争われる場合には、筆跡鑑定が行われることもあります。

3.秘密証書遺言

最初に遺言書を作成し署名・押印します。ワープロやパソコンなどの機械で作成しても大丈夫です。
遺言書に押印したのと同じ印章で、遺言書を封印して公証人役場に持ち込みます。
公証人が遺言者の申述を記載した封紙に、遺言者と2名以上の証人が署名・押印します。
原本は遺言者が保管します。秘密証書遺言書を作成した事実は、公証人役場に記録されますので、
遺言の存在は明確となります。

執行時は、裁判所の検認が必要です。封印した遺言書を公証人役場に持ち込むので、内容を秘密に
できます。
紛失してしまう恐れや、形式不備などから無効となるリスクがあります。
手続きに手間と費用がかかるわりには、公正証書遺言ほど確実ではありません。
あまり利用されていない方法です。

遺言は3つの方法で




遺留分を理解する


人には自分の財産や所有物を自分自身で管理したり、自由意志に基いて処分する権利
があります。これを管理処分権と言います。遺言書を作成して、自分の財産を自己の意思
により処分するのも管理処分権に基づいた行為なのです。

原則的には本人の意思を尊重するため、遺言書の内容は優先されるのです。
遺言書を作成すれば法定相続人以外の者に全財産を遺贈することもできます。
しかし「自分が死んだら愛人に全財産をあげる」という遺言書を作られてしまうと、
そんなことをされたのでは、残された家族が住む家を失い生活もできなくなる
という理不尽な事態が起ってしまいます。

このようにあまりにも相続人に不利益な事態を防ぐために、民法では遺産の一定割合の
取得を相続人に保証する遺留分という制度が規定されています。

遺留分 ロゴ 
  民法 第1028条



 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に
 掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に
 相当する額を受ける。

 1 直系尊属のみが相続人である場合 
   被相続人の財産の三分の一

 2 前号に掲げる場合以外の場合 
   被相続人の財産の二分の一


遺留分の割合の計算方法

遺留分割合1



遺留分割合2



遺留分割合3


遺留分減殺請求

相続人の遺留分を侵害する遺言も、当然のように無効となるわけではありません。
遺留分の返還請求をするかどうかは相続人の自由意思に委ねられるのです。
相続人が、自己のの遺留分の範囲までの財産返還を請求する「遺留分減殺請求」
が行使されるまでは有効な遺言として効力を有します。

遺留分減殺請求1


遺留分減殺請求は、遺留分の侵害を知った日から1年以内に
行わなければなりません。また、知り得なかった場合でも、
相続の開始日から10年で権利を失います。


中小企業のオーナーの財産の大半は自社株です。自社株のすべてを後継者に承継させれば、
多くの場合は他の家族の遺留分は侵害されてしまいます。

他の家族が遺留分減殺請求権を行使すれば、後継者は対抗することができません。
しかし、後継者が自社株の過半数を承継できないと、経営はうまくいかなくなります。
最悪の場合には、会社から追い出されてしまいます。

たとえ自社株の過半数を承継したとしても、自社株が親族に分散してしまうと、
株主代表訴訟のリスクを恐れるあまり、経営が大きく制約されてしまうこともあります。

環境の変化に合わせて、柔軟かつ大胆に意思決定ができない会社が生存し続けられるほど、
現在の経済状況は甘くありません。

後継者以外の相続人に分割用の資産を用意しなければ、他の相続人が遺留分減殺請求権を
行使して、相続が『争族』へ発展する可能性が高くなります。

会社分割により会社を分けたり、後継者以外の相続人への分割用資産を、保険や資産組み換え
によって事前に作っておく必要があります。



自社株の承継方法


後継者が事業を承継して安定的に会社を経営するためには、少なくとも自社株の過半数を
承継しなければなりません。株主にはさまざまな権利がありますが、もっとも大切なのは
役員を選任したり解任する権限です。
後継者の自社株持分が50%を割り込むと、最悪の場合、取締役を解任される可能性があります。



自社株承継方法 ロゴ 
 自社株の承継方法



 それぞれにメリット・デメリットがあり、使い分ける
 必要があります

 1 オーナーから自社株を買い取る

 2 生前贈与

 3 遺言による相続

 4 対策をしないで、相続人の遺産分割協議で決める


これから先に読み進める前に、先述した遺留分という民法で相続人に
与えられている権利について理解しておく必要があります。
理解が不十分だと思う方は、少し戻ってもう一度「遺留分」について
復習してから先に進んでください。

オーナーから自社株を買い取る

後継者がお金を出して自社株を買い取る方法です。

この方法で承継した場合、相続や贈与によって承継したのではなく適正な
対価を出して買い取るので、遺留分の問題は生じません。

他の相続人から、『分け前をよこせ!』とは言われません。

デメリットは、後継者が買い取り資金を用意しなければならない
ということです。

自社株の評価はオーナー一族の場合、相続税法上の『原則的評価方法』で
評価される
ため、一株当りの評価額が高くなる傾向があります。

遺留分の計算をする際の自社株の評価額は時価なので、
業績のよい会社の場合にはDCFを加味して評価額が決定
されるので、評価額が高くなってしまいます。

DCF(ディスカウンテッド・キャッシュフロー)とは、会社のキャッシュフローから
自社株の評価額を算定する方法です。
業績が良くて資金繰りに問題の無い会社の自社株は、評価額が高くなります。


この方法では、後継者の資金負担が重くなるとともに、自社株式の一部
しか承継できない場合があります。


生前贈与

オーナーが生存中に自社株を後継者に贈与する方法です。

贈与なので、遺留分の問題が後で発生する可能性があります。
贈与した自社株は、オーナーの遺産に加算されて遺留分が計算されます。

贈与税の場合は比較的に少額の財産にも高い税率がかけられるので、
あまり多くの財産を移転できないという欠点もあります。

しかし、生前贈与は自社株の承継において最も有効な方法です。
自社株対策によって自社株の評価額を下げて、贈与税を大きく減らす
ことが可能だからです。

遺留分についても、オーナーが生きているうちに他の相続人と話し合い、
遺留分相当額に達しなくとも、ある程度の遺産分割用の財産を用意しておけば、
後で揉めることはほとんどありません。

この方法を選択すれば、オーナーの生存中に事業承継を完了することができます。
オーナーは事業が無事に承継されたことを見届けることができます。

先述した遺言による方法は、公正証書による方法であったとしても、
相続人全員の合意があれば、遺言とは異なった方法で遺産が分割されてしまう
こともあります。

後継者が情にほだされたり、言いくるめられたりして、事業承継に必要な自社株を
承継できず、事業承継がうまくいかなくなる可能性もあります。

遺言による相続

遺言によって株式を承継させる方法です。先述した通り遺言の方式には
三種類あります。


●公正証書遺言    ●自筆証書遺言    ●秘密証書遺言


それぞれメリットとデメリットがありますので、自社の事業承継にあったスタイルを
選択する必要があります。

多くの事業承継の場合は、従業員も含めて影響を受ける利害関係者が多いので、
公正証書遺言方式をとるのが一般的です。

遺言による方法はすぐれた承継の方法にように見られますが、その内容によっては
遺留分の問題が発生する可能性があります。

「オーナーの思いを遺言に託して家族の結束をはかる」などの耳障りの良い発言をして、
遺言信託を推奨する方も数多くいますが、権利意識の発達してきた現代において、
遺留分が侵害された場合には、遺言のメッセージには限られたインパクトしかありません。

いつ発生するかわからない相続は、たまたま会社の業績が好調であったり、
自社株や土地の時価が高かったりすると、相続税額が高額になってしまい、
後継者や会社が相続税の資金負担で、長く苦しむ場合もあります。

対策をしないで、相続人の遺産分割協議で決める

買取・生前贈与・遺言もない場合には、オーナーの遺産は遺産分割協議
により分割されます。

後継者ではない相続人が権利主張した場合には、後継者は法定相続分の
自社株しか承継できません。

自社株の所有比率は会社の支配権に直結します。

後継者と他の相続人の自社株所有率が同じであったならば、揉め事が
起こった場合に解決不可能となり経営に甚大なな影響が生じます。

後継者は会社に対する支配権を失い、事業の継続はとても困難になる
ことが予想できます。

先代経営者が自社株の承継をいい加減に考えていれば、会社の所有権
もはっきりせず、後継者の経営がうまく行かなくなるのは明らかです。

自社株の承継方法




遺留分の争いの回避法


経営承継円滑化法が導入され、さらに平成25 年度税制改正における事業承継税制の
見直しの結果、平成25年4月1日から「経済産業大臣の事前確認」が認定の要件から
外れることとなりました。

その結果、遺留分の放棄が実行しやすくなりました。

■除外合意

後継者が他の推定相続人との間で、生前贈与された財産を遺留分の算定基礎から除外
する合意
をして、それを書面にして合意内容について経済産業省の確認を受けて、
家庭裁判所の許可を受ければ、遺留分算定の基礎財産から外すことができます。


除外合意されれば、対象となる自社株は「遺留分の対象から除外」されるので、
他の相続人から遺留分侵害請求を受けることはありません。

除外合意が成立すれば後継者は自社株の分散を防ぐことができ、安心して後継事業に
専念することができます。

除外合意ではなく、生前贈与された自社株式の評価を合意時の評価額で固定する
こともできます。

■固定合意

後継者が先代経営者から贈与により取得した自社株の全部または一部について、
「遺留分を算定するための財産に算入すべき評価額」を合意時における評価額
固定すること。合意時の評価額は「国税庁の相続税財産評価基本通達」ではなく、
中小企業庁が策定したガイドラインを考慮して決めることになります。


評価額を固定すれば、贈与後に後継者の努力で会社の業績が
伸びて自社株式の評価額が上がっても、遺留分が増大することはありません。

会社の業績が伸びるほど、遺留分が増えてしまうというパラドックスから解放され、
後継者がやる気をなくすことは無くなります。

これら2つの特例は後継者単独で申し立てができるため、かなり利用しやすい制度に
なっています。

事業承継の場合には除外合意をお薦めします。
除外合意を用いれば、遺留分減殺請求を未然に防ぐことができます。

この特例が認められるためには、合意前には後継者の議決権比率が50%以下であり、
合意後には50%超となることが必要です。

これら2つの特例を利用するためには、推定相続人の合意が必要です。
推定相続人の合意を得るためには、相当の資産を用意しなければならない
でしょうから、生命保険などで事前に準備しておく必要があります。
この点におけるアドバイスは、法人保険営業マンには必須事項です。



遺産分割の争いの回避法


事業承継を成功させるためには、自社株を事業承継者に集中して
承継させなければなりません。

過半数の議決権をもっていなければ、会社から追い出されてしまうことを
危惧しながら経営を続けなければなりません。
また実際に、追い出されてしまうこともあります。

遺産分割協1


中小企業の経営者の財産の大半は自社株です。
自社株を後継者に承継させれば、経営者には他の相続人に分け与える
財産はほとんど残らないでしょう。

親の財産を後継者が一人占めをして、ほかの相続人が納得してくれる
とは限りません。

遺産分割協議2


先代経営者が亡くなった後に『遺留分をくれ!』と後継者に請求してくる
ことは非常に多くあります。

後継者以外の相続人にも、民法では遺留分減殺請求権が認められているので、
法的な争いとなった場合には、後継者は不利な立場に陥ってしまいます。


遺産分割協議3


経営承継円滑化法に基づき、後継者がほかの推定相続人と合意して
それついて経済産業省の確認を受け、家庭裁判所の許可を受ければ、
生前贈与された自社株を遺留分算定の基礎財産から除外することが
できます。
これを除外合意といいます。
除外合意されれば、その自社株については、遺留分を請求される
ことはありません。

後継者単独で申し立てができるため、利用しやすい制度となっています。

遺留分の権利者の合意を得るためには、相応の資産を用意しなければ
なりません。そうでなければ他の推定相続人に納得してもらえません。
事前に生命保険などで準備しておく必要があります。

社長亡きあとに親族間での争いが起こるのを避けるためには、
後継者以外の相続人にも与える代償財産を用意して、
遺産分割について理解を得なければなりません。

先代経営者が『会社は長男に継がせるが、おまえたちにも十分
では無いかもしれないが、財産を残すので兄弟仲良くやってくれ

と言えば将来の争いは回避できるハズです。

後継者にすべての財産が渡り、他の相続人に何も与えなければ、
必然的に争いが勃発してしまいます。

先代経営者は、自身の生存中に後継者以外の相続人に分ける財産を作り、
将来の事業承継に備えておくべきです。


■他の相続人に財産を確保する方法

 1 会社分割

 2 種類株式の発行

 3 生命保険を使って現金を確保する

 4 資産の組み換え




会社分割

会社分割

会社を事業ごとに分割して、それぞれを相続人に承継させる方法です。

事業の分離が難しい場合には、収益不動産に投資して不動産事業を開始して、
その不動産事業を本業と切り離し分社化する方法も取れます。

会社を分割する際には、税法上の要件を守って分割時に課税を受けない
ようにしなければなりません。

会社を分割した場合には、その時点で含み益や営業権に課税されるのが原則です。
しかし「グループ内の組織再編」「共同事業を行うための会社分割」
の二つの場合には非課税になります。

双方とも細かい適格要件が税法で定められていますので、
会社分割は慎重に実施する必要があります。

種類株式の発行

会社は「種類株式」といって、普通株式以外に株主の権利内容が異なる
株式を発行できます。

その一つが「議決制限株式」です。株主総会での議決権の行使が
制限されている株式です。
取締役の選任・組織再編・資金調達に対して議決権が無い
ので、経営に口出しすることができません。

「配当優先株式」も発行できます。配当優先株式とは配当を多く受け取る
ことができる株式です。

社長が所有する株式の一部を「配当優先・無議決権株式」に転換します。

■種類株式の超重要ポイント

配当優先・無議決権株式を後継者以外の子供に相続させ、後継者には議決権のある
普通株式を承継させれば、後継者は会社の支配権と経営権を承継することができます。
後継者以外の相続人が所有する株式は議決権が無いので、経営に口出しすることが
出来ないからです。


一方で他の相続人は、配当が優先的に与えられるので財産権は確保できます。

配当優先株式は一般的には「非参加・累積型の配当優先株式」とします。
一定の配当が優先的に受けられます。

仮にある事業年度に配当原資が十分に無く、配当が受け取れなかった場合には、
以後の事業年度に受け取れなかった配当が繰り越されます。

ただし、優先配当と別に普通株式が受ける配当を上乗せして
受け取ることはできません。


生命保険を使って現金を確保する

生命保険契約をして社長の退職金の原資を確保し、社長の死亡退職金を
遺産分割用の財産として活用する方法です。

契約者を会社、被保険者を社長として、逓増定期保険か長期平準保険定期保険
に加入します。

毎年の掛け金は一定の要件をみたせば、半分は損金算入できますので、
節税効果もあります。

社長が死亡し保険金が支給された場合には、課税されてしまいますが
同時に死亡退職金を遺族に支給して、会社が課税されないようにします。

結果として、税金を減らして簿外資産を形成することができます。

支給された死亡退職金は、自社株式の相続税評価額(純資産価額方式)を
引き下げます。
死亡退職金は一般的には大きな金額となりますので、
相続税の評価額を大きく下げることができます。

死亡退職金は、所得税ではなく相続税の対象となりますが、
法定相続人一人当り500万円の非課税枠があります。
非課税枠の分だけ相続税は減額されます。


役員退職金は、一般的には次の算式で計算されます。

■役員退職金の計算方法

最終月額報酬額×役員の在籍年数×功績倍率(2~3倍)


社長の在籍年数はとても長いことが多いので、大きな金額を死亡退職金として
支給することが可能です。

■生命保険を活用するメリット

 1 生命保険の掛け金は法人の損金となり、
   大きな節税効果が期待できる

 2 死亡保険金に相続税が課せられるが、法定相続人
   1人当たり500万円の非課税枠の分だけ減額される

 3 社長の退職金は、在籍期間が考慮されるので、
   多額の支給が可能である

 4 その多額の死亡退職金は、自社株式の評価を
   その分だけ下げてくれる。評価額が下がった分だけ、
   自社株式にかかる相続税は安くなる

 5 法人の節税額を遺産分割用の財産に作り変える
   ことができる


この退職金を他の相続人への代償用の財産として使えば、後継者が自社株を
承継することについて、理解を得やすくなります。

資産の組み換え

遊休状態にある資産を、高利回りの資産や流動性の高い資産へ組み替えて、
分割用の財産として確保する方法です。

遊休不動産を売却して、高利回りの不動産へ組み替える手法が一般的です。
高利回りの不動産は売却しやすいので、いざというときに換金して、
社長の遺族への死亡退職金原資となります。

収益の高い不動産事業を分社化して、別の相続人に承継させることもできます。
利回りが高ければその分だけ、会社にお金を残すことができます。
この残ったお金も、他の相続人への遺産分割用の財産として活用できます。

不動産を組み替えるときには、税金を最小化するように注意する必要があります。
事業用資産の買い替え特例等価交換の特例を利用して、譲渡益に対する課税額を
できるだけ少なくしましょう。

投資用不動産の利回りを予測するときには、譲渡益に課せられる税金だけでなく、
登録免許税、不動産取得税などの取得付随費用や、将来における空室リスク等も
考慮する必要があります。

遊休不動産を売却して換金し、流動性の高い金融商品に組み替える手法も
選択肢としてあります。

遊んでいる不動産を売却して売却代金を定期預金にしたり、投資信託に投資
したりすれば、相続のときに他の相続人への代償資産として使えます。

注意を要するのは、遊休不動産の処分には時間がかかります。
値下がりした不動産は、心情的に売りたくないものです。

先ずは相続のシミレーションをしてみましょう。

いま仮に相続が発生したら、税額がどれぐらい発生して他の相続人に
どれだけの財産を分割して与えることが可能なのかを試算しましょう。

分割用の財産がどれだけ必要なのか把握できれば、早めに資産組み換えに
取り組むことができるのです。

資産組み換え




相続人に対する売渡請求


中小企業では自社株を幹部社員などに持たせて、自社株が分散
してしまっていることがあります。

社長が健在なうちは何ら問題がありませんが、後継者の代になり幹部社員も引退
して幹部社員のところでも相続が発生したりすると、非上場株式にもかかわらず
株主名簿に会ったこともない株主が散見されるようになります。

放置しておくと、後に株主代表訴訟の株主の権利が濫用される
可能性もありえます。

幹部社員が信頼できる人物であっても、その相続人が誠意ある人物
であるとは限りません。

以前は株式を譲渡制限としていた場合であっても、相続や合併は
一般承継であるために株式の移転を制限できませんでした。

会社法が改正され、相続や合併などにより譲渡制限株式を包括承継した者に、
自社株の売渡請求ができる旨を、定款に定めることができるようになりました。

この制度を利用すれば、会社にとって好ましくない者が自社株を相続したときは、
会社が自社株の売渡請求を行って排除することができます。

■売渡請求をするための要件


 1.自己株式の取得ですので、株主総会の特別決議が必要です。通常の自己株式の取得
   と違って、他の株主が自己を売主に追加するように請求することはできませんので、
   請求がしやすくなりました。自分の持っている株も買ってくれとは言えません。

 2.譲渡制限株式でなければなりません。

 3.相続があったことを知った日から1年以内に、請求権を行使しなければなりません。

 4.自社株の買取なので財源規制を満たさなければなりません。分配可能利益の範囲内
   の金額でしか買取請求ができません。


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